パーム油
パーム油とは、アブラヤシ(オイルパーム)から取れる油のことです。
2005年には大豆油を抜いて、パーム油が世界で一番多く使われる食用油になりました。
現在では食用利用に留まらず、石油代替の原料として、また、地球温暖化の対策のバイオディーゼル燃料として注目されています。
パーム油はインドネシアとマレーシアが2大生産地です。 2005年時点で、世界の生産量の約85%を占めている状況です。
インドネシアでは、1980年代から大規模なプランテーション(※1)が開発されパーム油生産が行われるようになりました。
アブラヤシのプランテーションには広大な用地が必要とされており、そのための造成によって森林破壊が起こり、結果として森林の減少や生態系への影響が懸念されています。
マレーシアでは、1960年代に大規模プランテーション(※1)が急激に造成され始めました。
1985年から2000年までのマレーシアにおける森林減少の原因の87%はアブラヤシ栽培のためのプランテーションの開発によるものとされています。
アブラヤシのプランテーション造成がボルネオ島の熱帯林減少の最大要因であり、熱帯林に固定されていた炭素が森林減少によって放出され、地球温暖化を加速させていることに疑問を持たなければなりません。。
プランテーションの開発に伴う問題として、森林が少なくなることによる動物による農作物被害、違法な開発での火入れによる森林火災、土地をめぐる紛争や森林に依存している住民の経済や文化への影響などが上げられます。
プランテーションの操業においては、化学肥料や農薬による河川の汚染や土壌の汚染、廃液や残渣(ざんさ=廃棄かす)から放出されるメタンガスとメタンガスの大気中放出による地球温暖化の加速、低賃金労働、児童労働など数々の問題が挙げられます。
地球温暖化の対策としての取組みが結果として、生産地である国々の環境破壊や社会問題を引き起こしているのです。
環境保護の観点からもあってはならない問題ではないでしょうか。
未来へ持続可能な社会を作るためには、世界全体で問題を解決し取り組んでいくことが重要です。
(※1) プランテーション (plantation) とは、大規模工場生産の方式を取り入れて、熱帯、亜熱帯地域の広大な農地に大量の資本を投入し、先住民や黒人奴隷などの安価な労働力を使って単一作物を大量に栽培する大規模農園のことです。
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